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環境省エコハウスプロジェクト巡り

エコハウス巡りをしている訳ではないのですが、先月OEH(オホーツク環境住宅研究会)による講演会で訪れた網走市の近くに、美幌町のエコハウスがあり、施工された工務店の方の案内で視察が叶いました。先週はパッシブハウス・ジャパン理事の松尾さんの企画で、近江八幡エコハウスにて、30代省エネ推進家の集まりに参加いたしました。そしてついに一昨日、自ら関わった山形エコハウスの完成形を目にすることができ、さまざまな困難を乗り越えて無事完成したこのプロジェクトに関わられた全ての方に、拍手を送りたい気持ちになりました。山形の凄いところは、ほぼ同時進行で、この山形エコハウスでのノウハウを応用した普及版エコハウス”オルタナハウス”を蔵王に実現しているところです。設計者である東北芸工大の馬場氏自らが山形エコハウスを”F1”、オルタナハウスを”カローラ”と名付け、1500万円の予算で、何が出来るかを模索しています。(ちなみに山形エコハウスと同等の性能の家をドイツに建てても、価格的にはプリウス以下です!)来月は岡山での講演会の後に備前のエコハウスに案内していただけることになっています。20の異なる風土に建つ、20の異なるエコハウスの解。それぞれには山形と同じように、これからの”カローラ”作りのためのヒントを見出すことができることを期待しています。

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2010.06.21 | | コメント(0) | トラックバック(0) |  ひとりごと


日本びいき

ずいぶんと日本びいきになってしまった週末だった。
ご近所の梅の木によじ登り、子供と一緒に大量の梅ジュースを漬け、夜には家の近くの小川に飛ぶ蛍を見に行った。鎌倉シックハウスでの暮らしの数少ない醍醐味である。ハヤブサの帰還も素晴らしいニュースだった。皆の思いが一つになった、日本の誇るべきプロジェクト。同じ技術水準でも日本人チームでなければ、あの数々の困難を乗り越えることは出来なかっただろう、と私は思う。仕事としての使命であっても、割り切らずに全力投球する、日本のプロにしか達成できない偉業であると感じた。やる気になったら日本は凄い。並はずれた一人ひとりのやる気を、最大限に社会に還元するための構造が必要とされていることは否めない。

2010.06.14 | | コメント(0) | トラックバック(0) |  ひとりごと


薄まりきったDNAを探しに

私の曽祖父である建築家・長野宇平治の作品が展示されていると父から聞いて神奈川県立歴史博物館で開催されている特別展示、”彩色立面図に見る日本の近代建築”に昨日ふらりと足を運んだ。現存の曾祖父の作品を全て見て廻りたいといつしか思うようになったものの、三井銀行神戸支店は阪神・淡路大震災で崩壊してしまい、私の願いは叶わなかった。そしてなんと今回、その三井銀行神戸支店の立面図の展示の前で、以前明治村で長野宇平治の展示会を企画されたという東京大学藤森研究室の協力研究員で、清水建設の上席研究員でおられる松波秀子さんという方に知り合った。彼女は私の祖母(長野の娘)とも面識があったそうで、なんとも驚くばかり。この不思議な巡り会いを企ててくださった同博物館の学芸員、丹治氏に感謝。来月の奈良訪問の際には、同じく長野の作品である、旧六十八銀行奈良支店を必ず訪れようと心に決めた。

2010.05.09 | | コメント(0) | トラックバック(0) |  ひとりごと


鎌倉はすっかり夏らしくなりました

我が家ではGW直前までストーブを使用していましたが、今では鎌倉もすっかり夏らしくなりました。隣の竹林のタケノコが大きくなるにつれて、うちの子供の水疱瘡も良くなっていきます。奈良の家の設計、茨木の家のパッシブハウス・コンサルタント、PHPPを用いた住宅メーカー向けエネルギーパス発行などの業務に追われる日々。おかげで5月28日の国際パッシブハウス・カンファレンスでの発表準備がなかなか進みません。とはいえ与えられた発表時間はたった20分ですので、そのためにわざわざドイツに渡航するのはそもそもエコなのかどうか・・。

2010.05.06 | | コメント(0) | トラックバック(0) |  ひとりごと


環境省のロードマップ

この数週間、建築物理学(ドイツ語ではバウフィジックと言います)漬けの日々でしたが、PHJの第一回省エネ建築診断士試験が先日無事に終わり、気が付けば、2020年までの次世代省エネ基準の義務化が、環境省の中長期ロードマップ(試案)で触れられていました。ところが2020年とは、EU議会が全ての新築住宅のカーボンニュートラル化を達成しようとしている時期。日本でも次世代省エネ基準が5年後(私の希望としては2年以内)に義務化されることを今から告知すれば、住宅業界には準備のための時間が十分にあるはずです。一方で、現在の省エネ等級4をはるかに超えた性能の住宅を、自主的に提供している優秀な工務店の差別化を可能にするために、住宅の燃費(kWh)によるラベリング制度を早急に導入する必要があります。ですからこのラベリングの2012年までの義務化を盛り込んだ環境省のロードマップは大いに評価されるべきでしょう。Q値は住宅の居住性に関わる非常に重要な尺度でありますが、実はQ値だけでは住宅の省エネ性の比較は難しいのです。また達成率何%という評価方法は、その基準となる建物の性能がいずれ引き上げられると評価をやり直さなくてはならないという欠点があります。住宅の省エネ化のために、まず設備の性能を高めるという考え方がまだまだ圧倒的ですが、実際にはエネルギーの需要そのものを減らす家づくりをしていくことこそが重要であり、このノウハウを持った有資格者(EUではエネルギーコンサルタントなどと呼ばれる)を日本でも育成することが、ドイツ、アイルランドで実際に住宅のラべリングを行ってきた私に出来る貢献なのでは、と日々感じています。また、日本版エネルギーパスの評価ツールをより公正で、誰にでも使いやすいものとして作り上げて行きたい。小さい家を選択する住み手が不利にならないように、日本版住宅省エネラベルでは冷暖房、給湯、照明、換気等の家の運転に最低限必要なエネルギーを一世帯当たりの燃費として明確に示す事が重要です。それが住宅の資産価値を高め、人々の日々のくらしの質の向上に繋がる。住宅の真の省エネ化を通じて、途上国のこども達の幸せと、先進国のこども達の幸せを、同時に実現することを願うばかりです。

2010.04.24 | | コメント(0) | トラックバック(0) |  ひとりごと


私事ですが・・。

森家の住む無断熱RC造の鎌倉シックハウスも暖房の頻度が減り、冬の間立ち入り禁止になっていたカビだらけの部屋もようやく解禁、家が広くなりました。先日4歳の誕生日を迎えた息子は爺と週末のドライブに出かけてしまったので、私は一人で運動不足解消に材木座海岸まで走りました。この間まで北風が吹いていた海岸は、海側から吹く南風とウィンドサーファー達であっというまに夏らしくなっています。ふと、この夏は子供と一緒にヨットに乗れるかも、と思いました。ただ、夏のセーリングは最高ですが、問題はこの海から鎌倉の浜に向かって吹く南風です。浜からヨットを出すときには、センターボードが流れ止めとして水中に刺さっていない限り、何時までたっても風上に進めません。しかし満潮時など浅瀬が延々と続くため、センターボードを入れすぎると海底にガリガリと当たってしまうのです(おかげで私はFRPの補修のプロになりましたが)。こんなかっこ悪いところは子供に見せられませんので、出艇のタイミングは慎重に決めなくてはいけません・・。

2010.04.11 | | コメント(0) | トラックバック(0) |  ひとりごと


切り替わらないもの

ハイチ地震発生から4日が経過した。
絶望的な状況におかれている人々に、手を差し伸べることの出来ない憤り。
苦しみあう者どうしが争い始め、新たな恨みを生んでゆく。
メディアさえも伝えきれない、すさまじい事態が目に浮かぶ。
残された者たちのこれからの更なる貧困を思うと、ただただ苦しい。
テレビという家電は、被災地からの報道をさっさとお笑い番組に切り替えてしまう。
一方の私は、日常への心の切り替えにみごとに失敗したようだ。

2010.01.17 | | コメント(0) | トラックバック(0) |  ひとりごと


地産地消のむずかしさ

今年もあっという間に終りまで来てしまった。年内に上げなくてはいけない原稿をひたすら書く日々。地産地消というキーワードを執筆の中でよく用いている自分が、息抜きにとロンドンから突如送られてきたコピ・ルアックというインドネシアのコーヒー豆を煎って飲んでいることに気が付く。この豆のフードマイルを思うと愕然とする。しかしこの豆は野生動物の排泄物の中から集められているようなので、完全なるリサイクル・フードである。口実をあれこれ考えては、地産地消の生き方の選択が、現代においていかに難しいかを痛感させられる。それだけではない。どう考えてもフェア・トレードとしか思えない小売価格ではあるものの、ジャコウネコの糞探しを仕事とする人たちが遠い国にいるのは、どうも気まずい。そもそも貧しい国の人々が私たちのためにコーヒーを栽培していること自体、気まずい。最近の一杯のコーヒーは、息抜きどころかますます私の悩み事を増やしている。

2009.12.28 | | コメント(0) | トラックバック(0) |  ひとりごと


屋上の風景

今日はドイツのラジオ番組の取材があり、ふらっと鎌倉パッシブハウスに立ち寄りました。屋上テラスに上がると、真っ青な大空が広がり、うらやましくなる気持ちよさです。冬に外に出たくなるのは、家の中がぬくぬくと暖かいからでしょうか??

金属屋根防水の栄住産業のホームページで、そんな鎌倉パッシブハウスの屋上風景が紹介されています。子供たちが元気に走り回る姿を写真に収めてくださった建築写真家の齋藤貞幸氏にも感謝です。

2009.12.04 | | コメント(0) | トラックバック(0) |  ひとりごと


視察ツアーを終えて

パッシブハウス視察ツアーを終えて、先日紅葉まっさかりの南ドイツから鎌倉に戻ったところ、なんと家の中の寒いこと!ペアガラスの外断熱住宅で暮らしたヨーロッパ生活を終え、これほど(家の中が)厳しい冬を迎えるのは10年ぶりなのである。あまりに久し振りなので想像以上のストレスである。あまりに着ぶくれて100年の恋も冷めるというものだ。今回のツアーで訪問したパッシブハウスのオーナー達は、皆これ以下の性能の建物にはもう住めないと断言していた。ミュンヘン郊外のパッシブハウス仕様の学校を見学した際には、参加者の皆さんから、”こんな学校で学べる子供達は本当に恵まれているな・・”、というため息がこぼれた。この学校建築に関しては、空間の豊かさは言うまでもなく、コストアップどころかコストダウンを達成したというので私たちは本当に度肝を抜かれてしまった。意匠と省エネ性能は決して相反するものでは無い、そんな強いメッセージを放つ事例を体験することができたことは素晴らしかった。指先が悴んできたので本日はここまで。
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2009.11.15 | | コメント(0) | トラックバック(0) |  ひとりごと


Green Marketplace Forum

私自身は普段ヨーロッパ人との交流が多いため、たまに出会うアメリカ人の行動力や呑み込みの早さというものが毎回とても新鮮に感じられます。先日行われた米国商工会議所の主催のGreen Marketplace Forumでも、そんなアメリカ的なstraight forwardの雰囲気の中で沢山の素晴らしい出会いがありました。パネルディスカッション後のワークショップも大変興味深く、どうしてドイツをはじめとするヨーロッパ諸国に比べて日本では生活の質が向上しないのだろうか?省エネ推進のためにはやはり小学校の環境教育から変えていかなくては、といったコメントも寄せられました。

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パネルディスカッションの様子。写真の最右から、Bovis Lend Lease JapanのGordon Hatton氏、積水ハウスの石田建一氏、KEY ARCHITECTSの森、早稲田大学教授の田辺新一氏。

2009.10.14 | | コメント(0) | トラックバック(0) |  ひとりごと


ペレットでお湯を沸かす

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パッシブハウス第二号では、ペレットでお湯を沸かしたい。そんなことばかり考えている。ヨーロッパにはリビングスペースにマッチするデザイン性の高いペレットストーブで、背面で水と熱交換して温水を作るモデルが幾つもあった。この温水を機械換気のダクトに通せば非常に省エネな全館暖房が可能となり、タンクに蓄えれば給湯にも使える。瞬間湯沸かし式の方がより設備コストが下がるかも・・。なにしろパッシブハウス級の外皮性能では小型のペレットストーブでもリビングルームがオーバーヒートしてしまうので、その熱をいかに”使いまわすか”がペレットストーブ付きパッシブハウスの鍵である。何故私がそれほどペレットストーブにこだわるのか、それは炎を囲むのが好きだから、寒がりな私は薪ストーブでは起きる前に点火できずに嫌だから、そして建材としての国産の木を育てるためには、廃材が燃料として流通することが大切だから。先日ひょんなことで知り合った近所のストーブやさん、ノーザンライトストーブの北中さんに私はこの身勝手な注文をぶつけてみた。身勝手ではあるが、ドイツにはそんな技術が既に存在する訳で・・。 

2009.09.04 | | コメント(0) | トラックバック(0) |  ひとりごと


気密の本当のメリット?

鎌倉の生命力といいますか、高温多湿からの命の恩恵というべきか、私の現在の仮住まいである鎌倉の築26年の賃貸タウンハウスでは、RC造にもかかわらず、ムカデやらヤスデやらアリの大群やらカマキリ(今朝に限ってはなんとナメクジまで)に、家の中で遭遇してしまう日常です。いったい彼らがどこから侵入してくるのか、私は日々恐怖におののきながら、一方で鎌倉パッシブハウスの現場の気密施工を指導してきました。ドイツではパッシブハウスの普及により建物の気密性能が格段に向上してきましたが、日本のパッシブハウス第一号となった鎌倉の家は、50パスカル減圧時の溺気回数が0.15回、隙間相当面積(C値)にしてなんと0.06を記録しました。省エネの観点からしてこれは並外れた性能であることは間違いありませんが、それよりもこの家の中に進入できる生き物もほとんどいないであろう事を思うと、なんとも羨ましいばかりなのです。town house

2009.07.14 | | コメント(0) | トラックバック(0) |  ひとりごと


東京向け・省エネサッシとは

温暖地域での住宅の高断熱化にも弱点はある。
冬の暖房効率を上げるために、外壁の断熱性能を上げてゆくと、
夏の日中に室内に侵入した熱が、夜間に放出されにくくなる。
ヨーロッパでは夏の湿度が低いので、夜間に窓を開ければ建物内部を一気に冷やすことが出来る。
ところが高温多湿の日本では、窓を開けることによって湿気が室内に侵入し、かえって除湿負荷が増えてしまう。鎌倉パッシブハウスでは冷房負荷、暖房負荷ともに15kWh/m2以下とすることに成功したものの、
更なる省エネ、ゼロカーボンを目指すなら梅雨時や夏の夜だけ性能の悪いシングルサッシが欲しい、シュミレーションを繰り返しながら
そんな事を思い始めた。トリプルサッシの代わりに、ペアガラスとシングルガラスを組み合わせた
新しいタイプのサッシならば、じめじめした夏の夜でも、内側のペアガラスを開けることで、湿気を取り込むことなく室内温度を下げることが出来るはず。
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2009.06.14 | | コメント(0) | トラックバック(0) |  ひとりごと


土地が高価だからこそ・・

土地がこれほど高価な場所で、壁にそこまで断熱材を入れる私は頭がおかしいと、知り合いの日本人設計士が言いました。土地がこれほど高価な場所だからこそ、シングルサッシを入れた窓の付近が、冬場に不快で寄り付けない空間となる方が、土地の無駄遣いだと思いませんか?

2009.06.02 | | コメント(0) | トラックバック(0) |  ひとりごと


200年住宅を考える

法隆寺を建てた大工は、1300年持つ建築を作ったのではない、
1300年持たせる価値のある建築を作ったのだ、

という話を聞いて
なるほど、と思った。

その建築の美しさに魅せられた人々は、法隆寺を守ろうと、
何世紀にも渡ってそれを修復、保存してきたという訳。

一旦建ててしまえば、メンテナンスフリーで200年その土地に建っているというような
強固なイメージで200年住宅を捉えがちの私たちは、この法隆寺の話から学ぶことがある。

200年後を見据えた性能を有していても、
街にも住み手にも愛される家で無ければ、また
50年後にふさわしい場所に建っていなければ、
その家は保存する価値が無いとみなされてしまうだろう。

2009.04.23 | | コメント(0) | トラックバック(0) |  ひとりごと


時間泥棒

ずっと居続けたくなるような台所を創りたい。
寒い冬の夜にも笑顔の絶えない団欒の空間を創りたい。

お風呂上りに布団の中以外に居場所の無いような家では、
家族の時間も盗み取られてしまう。
現代の標準的な日本の家屋は、時間泥棒に他ならない。

かといって、取り壊して土に埋めてみても、大地に還ることも無い、
役立たずの粗大ごみみたいな存在だ。

2009.04.23 | | コメント(0) | トラックバック(0) |  ひとりごと


何もいらない贅沢

好きなモノに囲まれている暮らしは楽しい。

でも何も要らない暮らしも楽しい。

住まいという空間以外何も要らないような贅沢を、
出来るだけ多くの人に体感してもらいたい。

モノが無性に欲しいときは、
実は日常のストレスの裏返しであることが多々あるのは
私だけだろうか?

2009.04.23 | | コメント(0) | トラックバック(0) |  ひとりごと